旅の始まりと終わりを彩る空港での時間。どうせなら、ただ飛行機を待つだけでなく、その時間自体を満喫したいものです。日本の空の玄関口である成田国際空港には、個性豊かな第一ターミナルと第二ターミナルがあります。私が長年空港を利用してきた経験から断言しますが、「どちらが楽しいか」という問いの答えは、あなたの旅のスタイルや誰と行くかによって全く異なります。
この記事では、飛行機好きの視点から、グルメ、アート、そして家族連れの楽しみ方まで、あらゆる角度から両ターミナルを徹底比較します。これを読めば、あなたの次の旅に最適なターミナルがどちらなのか、明確な答えが見つかるはずです。
成田空港の基本情報|第一・第二ターミナルの違い
両ターミナルの楽しさを比較する前に、それぞれの基本的な特徴と違いを理解しておくことが重要です。建物の構造や就航している航空会社が異なるため、雰囲気も大きく変わります。
第一ターミナルの特徴|歴史と風格が漂う空間
第一ターミナルは、成田空港開港当初から存在する、歴史と威厳を感じさせるターミナルです。中央ビルを中心に南北のウイングが広がる構造は、旅の高揚感を演出してくれます。天井が高く広々とした空間は、まさに国際空港の風格そのものです。
私が感じる第一ターミナルの魅力は、その重厚感にあります。ANAをはじめとするスターアライアンス系の航空会社が多く就航しており、落ち着いた雰囲気の中で出発までの時間を過ごせます。ただし、構造がやや複雑なので、初めて利用する際は時間に余裕を持つことをおすすめします。
- 主に利用する航空連合|スターアライアンス (ANA、ユナイテッド航空、シンガポール航空など)
- 構造|中央ビル+南ウイング・北ウイング
- 雰囲気|クラシック、壮大、フォーマル
第二ターミナルの特徴|機能美と明るさが魅力
1992年に開業した第二ターミナルは、第一ターミナルとは対照的に、モダンで機能的な設計が特徴です。直線的で分かりやすい構造は、誰にとっても利用しやすく、移動のストレスを感じさせません。
自然光がたっぷりと差し込む明るく開放的な雰囲気は、私が第二ターミナルを好きな理由の一つです。JALをはじめとするワンワールド系の航空会社が多く利用しています。ショッピングエリアやレストランがコンパクトにまとまっているため、効率的に時間を使いたい人には最適なターミナルです。
- 主に利用する航空連合|ワンワールド (JAL、アメリカン航空、キャセイパシフィック航空など)
- 構造|本館+サテライト (直線的でシンプル)
- 雰囲気|モダン、開放的、カジュアル
飛行機好き必見|展望デッキ徹底比較
空港での最大の楽しみといえば、やはり飛行機の離着陸を眺めることでしょう。両ターミナルの展望施設は、見える景色も楽しみ方も全く異なります。
第一ターミナル|ダイナミックな離着陸ビュー
第一ターミナル5階の展望デッキは、4,000メートルのA滑走路を一望できる絶景スポットです。エンジンの轟音とともに巨大な機体が飛び立つ姿は、まさに圧巻の一言。その迫力ある光景は、何度見ても飽きることがありません。
特に、航空写真ファンにとっては最高のロケーションです。フェンスにはカメラレンズを通すための穴が設けられており、クリアな写真を撮影するための配慮がされています。
【重要】長期閉鎖のお知らせ
ここで非常に重要な情報があります。第一ターミナルの展望デッキは、リニューアル工事のため2025年4月7日から2026年春まで閉鎖されます。この期間中に飛行機を屋外から眺めたい場合は、第二ターミナルへ行く一択となります。
第二ターミナル|駐機する機体を間近で体感
第二ターミナルには、4階の北側と南側に2つの見学デッキがあります。こちらの特徴は、なんといっても駐機している飛行機との距離の近さです。世界各国のカラフルな尾翼がずらりと並ぶ光景は、飛行機好きの心をくすぐります。
私がここで好きな時間の過ごし方は、ベンチに座って、これから飛び立つ飛行機や、地上で働くスタッフのきびきびとした動きをじっくりと観察することです。滑走路の迫力とは違う、空港ならではの臨場感を味わえます。
| 特徴 | 第一ターミナル | 第二ターミナル |
| 場所 | 5階 中央ビル | 4階 北側・南側 |
| 眺望 | A滑走路を一望 (パノラマビュー) | 駐機中の機体を間近で見る (ゲートビュー) |
| 魅力 | 離着陸の迫力、轟音 | 機体のディテール、地上スタッフの動き |
| 現在の状況 | 閉鎖中 (~2026年春予定) | 開放中 |
旅の腹ごしらえ|グルメ対決
空港での食事は、旅の楽しみを大きく左右する重要な要素です。両ターミナルのレストラン事情は、それぞれの個性を色濃く反映しています。
第一ターミナル|選択肢豊富な「エアポートモール」
第一ターミナルの食の中心は、4階にある「エアポートモール」です。寿司、ラーメン、洋食、カフェなど、あらゆるジャンルのレストランが軒を連ねており、選択肢の多さでは群を抜いています。
出国前後にしっかり食事をしたいなら、ここに来れば間違いありません。私がよく利用するのは、本格的なお寿司が味わえる「つきじ寿司岩」や、ほっとする味の「だし茶漬け えん」です。ただし、ピークタイムは非常に混雑するため、時間に余裕を持って利用するのが賢明です。
第二ターミナル|洗練された「JAPAN FOOD HALL」
第二ターミナルは、特に出国後のグルメ体験が素晴らしいです。2022年にオープンした「JAPAN FOOD HALL」は、”日本を味わう”をコンセプトに、寿司や天ぷら、ラーメンなどの名店10店舗が集結したフードホールです。
ここの最大の魅力は、国内の空港では初となる屋外テラス席の存在です。飛行機を間近に眺めながら食事やお酒を楽しむ時間は、まさに至福のひととき。旅の始まりを最高に盛り上げてくれる、私が今最もおすすめする空港グルメスポットです。
意外な魅力|アート&エンタメスポット
フライトまでの待ち時間に、少し知的な楽しみ方をしてみるのはいかがでしょうか。実は成田空港は、優れたアート作品に触れられる場所でもあるのです。
第一ターミナル|歩くだけで楽しい「アート散歩道」
第一ターミナルは、館内の至る所にパブリックアートが点在しており、「アート散歩道」として楽しめます。特に、出国手続き前のエリアには、著名なアーティストによる見ごたえのある作品が展示されています。
- 山口晃氏の陶板作品|日本の伝統と現代が融合したユニークな絵画
- 粟津潔氏のステンドグラス|巨大で色鮮やかな作品が空間を彩る
わざわざ美術館に行かなくても、移動の途中で気軽に一流のアートに触れられるのは、第一ターミナルならではの贅沢です。
第二ターミナル|日本の「ものづくり」に触れる空間
第二ターミナルのアートは、よりテーマ性が高く、日本の伝統工芸の素晴らしさを伝えるものが多いです。特に国際線の到着コンコースには、「日本の手わざ」をテーマにした、木工や漆、陶芸などの名工による作品が展示されています。
派手さはありませんが、日本の美意識が凝縮された作品群は、海外から訪れた人々だけでなく、私たち日本人の心にも静かに響きます。アートをテーマにしたショップ「ものとアート」をのぞいてみるのも楽しいです。
両ターミナル共通の楽しみ|ガチャポンエリア
アートとは少し違いますが、子供から大人まで、そして国籍を問わず大人気なのが、壁一面に設置されたカプセルトイ、通称「ガチャポン」のエリアです。両ターミナルに大規模なコーナーがあり、その種類の豊富さには驚かされます。小銭が余っていたら、旅の記念に一つ回してみてはいかがでしょうか。
家族旅行の味方|子供向け施設をチェック
子供連れの旅行では、空港でいかに子供を飽きさせないかが重要です。その点、成田空港は両ターミナルともに子供向けの施設が充実しています。
キッズパークはどっちが充実?
フライト前に子供の体力を発散させられるキッズパークは、パパ・ママにとって救世主のような存在です。両ターミナルとも出国手続きの前後複数個所に設置されています。
結論から言うと、出国後のエリアで比較するなら、第二ターミナルの方がより広く、設備も充実しています。特にサテライトへ向かう通路の途中にあるキッズパークは、乳幼児向けと少し大きい子供向けのエリアが分かれており、安心して遊ばせることができます。
キャラクター好きなら見逃せない!
子供の興味に合わせてターミナルを選ぶ、という戦略も有効です。
第一ターミナル|レゴ®と任天堂
第一ターミナルには、ブロックで遊べる「レゴ®ストア」と、無料でゲームが体験できる任天堂のプレイエリア「Nintendo Check In」があります。創造力を働かせたり、ゲームに集中したりするのが好きな子供には、最高の遊び場です。
第二ターミナル|ポケモンの聖地
第二ターミナルは、まさにポケモンの聖地です。公式ショップである「ポケモンストア」はもちろん、ターミナル内の至る所にキャラクターのオブジェやフォトスポットが点在しています。ポケモン好きの子供なら、大興奮すること間違いなしです。
結局どっちがおすすめ?|タイプ別診断
ここまで様々な角度から比較してきましたが、最終的にあなたにおすすめのターミナルをタイプ別に診断します。
| こんなあなたにおすすめ! | 最適なターミナルは… | ここがポイント! |
| 飛行機の迫力を体感したい航空ファン | 第一ターミナル (2026年春以降) | A滑走路を一望できる最高のロケーションで離着陸を満喫 |
| 駐機中の機体をじっくり眺めたい | 第二ターミナル | 近い距離で様々な航空会社の機体を鑑賞できる |
| 本格的なグルメ体験をしたい美食家 | 第二ターミナル | JAPAN FOOD HALLのテラス席で特別な食事を |
| たくさんの選択肢から選びたい | 第一ターミナル | エアポートモールに和洋中あらゆるジャンルが揃う |
| ポケモン好きの子供と一緒の家族 | 第二ターミナル | ポケモンストアとフォトスポット巡りで大満足 |
| レゴやゲーム好きの子供と一緒の家族 | 第一ターミナル | レゴ®ストアと任天堂のプレイエリアで夢中に |
| アート鑑賞を楽しみたい | 第一ターミナル | 著名アーティストの作品が点在する「アート散歩道」 |
| 分かりやすさ・効率性を重視する | 第二ターミナル | シンプルな構造で迷いにくく、移動がスムーズ |
まとめ

成田空港の第一ターミナルと第二ターミナル、どちらが楽しいかという問いへの答えは、一つではありません。
第一ターミナルは、壮大な建築空間でアートを鑑賞し、豊富なレストランから食事を選びたい、クラシックな空港体験を求めるあなたにおすすめです。
第二ターミナルは、モダンで機能的な空間で、飛行機を間近に感じながら洗練された食事を楽しみ、効率的に時間を過ごしたい現代的なあなたにぴったりです。
この記事を参考に、あなたの旅のスタイルに合ったターミナルを選び、フライト前の待ち時間を旅の素晴らしい思い出の一部に変えてください。


