新品のiPhoneは魅力的ですが、価格が年々上昇しているのも事実です。そこで賢い選択肢となるのが、中古のSIMフリーiPhoneです。私が実際に中古端末を選ぶ際にも、コストを大幅に抑えつつ、新品に近い満足感を得られる一台を探します。
しかし、その魅力的な価格の裏には、知らなければ損をする多くの落とし穴が潜んでいます。突然通信できなくなる「赤ロム」や、全く使えなくなる「アクティベーションロック」など、購入を後悔する事態は避けたいものです。
この記事では、中古iPhone選びで失敗しないための9つの具体的な注意点を、私の経験に基づいて徹底的に解説します。
デジタルな身元保証|購入前に絶対確認すべき3つのポイント

中古iPhoneを手に入れる上で、外観の美しさよりも先に確認すべき、いわば「デジタルの身元保証」が存在します。これらは端末が通信機器として正常に機能するかを決定づける最重要項目です。この3つのポイントのいずれかに問題があれば、そのiPhoneは購入すべきではありません。
赤ロムの恐怖|ネットワーク利用制限を確認する
中古iPhone選びで最大の地雷ともいえるのが「ネットワーク利用制限」です。これは、前の所有者が端末代金の支払いを終えていない場合などに、キャリアがその端末の通信機能を強制的に停止させる措置です。この状態を「赤ロム」と呼び、一度赤ロムになるとWi-Fi環境でしか使えなくなります。
IMEI番号の確認方法
ネットワーク利用制限の状態は、IMEI(端末識別番号)という15桁の数字で確認します。出品者や販売店に確認を求める際の基本となる情報です。
- 電話アプリで確認|キーパッドで「*#06#」と入力すると表示されます。
- 設定アプリで確認|「設定」→「一般」→「情報」と進むとIMEIの項目があります。
- 本体や外箱で確認|SIMトレイや本体背面、元箱のラベルに記載されているモデルもあります。
判定結果(〇△×)の正しい見方
取得したIMEIを各キャリアの公式サイトで入力すると、判定結果が表示されます。この記号の意味を正確に理解することが重要です。
| 判定 | 状態 | 安全性 |
| 〇 | 支払い完了済み | 最も安全。安心して購入できます。 |
| △ | 分割支払い中 | リスクあり。将来赤ロム化する恐れがあります。「赤ロム永久保証」付きの店舗以外では避けるべきです。 |
| × | 利用制限中 | 購入厳禁。いわゆる「赤ロム」状態です。モバイル通信はできません。 |
私が取引する場合、「△」判定の端末は個人間取引では絶対に選びません。保証がなければ「×」と同じだと考えるのが賢明です。
文鎮化を回避|アクティベーションロックの解除を確認する
アクティベーションロックは、iPhoneの盗難や紛失時に第三者による不正利用を防ぐための強力なセキュリティ機能です。このロックがかかったままだと、初期設定時に前所有者のApple IDとパスワードが要求され、それを入力できない限り、端末は全く操作できません。まさに高価な「文鎮」と化します。
確認方法と危険な兆候
ロックが解除されているかは、iPhoneの電源を入れた際の画面で判断します。多言語で「こんにちは」と表示される初期設定画面が出れば、ロックは解除されています。「iPhoneは所有者にロックされています」という画面が出た場合は、ロックがかかったままです。
オンラインで購入する際は、出品者が「iPhoneを探す」をオフにし、iCloudアカウントから端末を完全に削除した確証を得る必要があります。出品者がこの手順を渋ったり、知らないと答えたりする場合は、盗難品や詐欺の可能性を疑い、取引を即座に中止すべきです。
本当に自由?|SIMロックの状態を確かめる
「SIMフリー」と書かれていても、念のため自分自身で確認することが大切です。SIMロックとは、特定のキャリアのSIMカードしか使えないようにする制限のことです。SIMフリー端末にはこの制限がありません。
設定アプリでの確実な確認方法
iOS 14以降であれば、SIMロックの状態は設定アプリから簡単に確認できます。この方法が最も確実です。
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」→「情報」の順にタップする
- 「SIMロック」または「キャリアロック」の項目を確認する
ここに「SIMロックなし」と表示されていれば、その端末は正真正銘のSIMフリーです。「SIMロックあり」と表示されている場合は、SIMフリー端末ではありません。
ファクトリーアンロックとキャリアアンロックの違い
SIMフリーには2種類あります。一つはApple Storeなどで最初からSIMフリーとして販売されたもの、もう一つはキャリアで販売された後にロック解除されたものです。機能は同じですが、後者はキャリアとの契約履歴があるため、ごく稀にネットワーク利用制限のリスクと無関係ではありません。この違いを理解しておくと、より安全な一台を選べます。
端末の健康診断|快適に使い続けるための物理チェック
デジタルな安全性を確認したら、次は端末が物理的にどの程度良好な状態かをチェックします。これは、購入後の満足度や、将来的な追加コストに直結する重要なステップです。私が端末を手に取るときは、まるで健康診断を行うように細部までチェックします。
iPhoneの心臓部|バッテリーの状態を見極める
中古iPhoneの価値を大きく左右するのが、心臓部ともいえるバッテリーです。バッテリーは消耗品であり、劣化具合は日々の使い勝手に直接影響します。
最大容量80%が境界線
バッテリーの健康状態は、「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で確認できる「最大容量」の数値で判断します。この数値は新品時を100%とした場合の現在のバッテリー容量を示します。
中古市場では、最大容量80%が重要な基準となります。80%を下回ると、パフォーマンスが低下したり、充電の持ちが著しく悪くなったりします。購入の目安は以下の通りです。
- 85%以上|良好な状態です。しばらくは交換の心配なく快適に使えます。
- 80%~84%|許容範囲ですが、近い将来のバッテリー交換費用(約1万円前後)を価格に含めて考える必要があります。
- 80%未満|交換が前提となります。特別な理由がない限り、避けるのが賢明です。
最大容量100%の落とし穴
発売から数年経ったモデルなのに最大容量が100%と表示されている場合、注意が必要です。これはバッテリーが交換されている可能性が高いことを示しています。Apple正規の純正バッテリーなら問題ありませんが、非正規の安価なバッテリーに交換されていると、不具合の原因になることがあります。100%という表示は、むしろ「修理履歴」を確認するきっかけと捉えるべきです。
外観から過去を読む|傷や損傷のチェックリスト
端末の外観は、価格だけでなく、そのiPhoneがこれまでどのように扱われてきたかを物語る履歴書です。細かい傷も念入りにチェックします。
スクリーンとボディの確認
スクリーンは、明るい場所で様々な角度から見て、深い傷やヒビがないかを確認します。白い画面を表示させて、色ムラやドット抜けがないかもチェックします。本体の側面や角にある凹みや深い傷は、内部へのダメージを示唆していることがあるため、特に注意深く見ます。
カメラレンズとポート類の確認
カメラレンズの傷は、写真の品質に直接影響します。光を当てて、傷やヒビがないか確認します。Lightningポートやスピーカーの網目部分に、ゴミの詰まりや腐食の跡がないかもチェックポイントです。
全ての機能が正常か?|実践的な動作テスト
見た目が綺麗でも、機能が正常に動作しなければ意味がありません。保証のない個人間取引では、この動作テストが最後の砦となります。
ディスプレイと物理ボタンのテスト
アプリのアイコンを長押ししてドラッグし、画面の隅々まで動かしてタッチ反応がない場所がないかを確認します。電源ボタン、音量ボタン、消音スイッチをそれぞれカチカチと操作し、正常に反応するかを試します。
カメラ・オーディオ・センサー類のテスト
カメラアプリを起動し、内外すべてのレンズで写真と動画を撮影します。フラッシュやオートフォーカスも試します。動画を再生してスピーカーの音割れがないかを確認し、ボイスメモでマイクの性能をテストします。
接続性と充電のテスト
Wi-FiやBluetoothに実際に接続し、通信が安定しているかを確認します。充電ケーブルを挿して、充電が問題なく開始されるかも必ずチェックします。
どこで買うのが正解?|購入先のメリット・デメリット
中古iPhoneをどこで手に入れるかは、価格、安全性、手間を天秤にかける重要な決断です。購入先は大きく3つに分けられ、それぞれに特徴があります。私が選ぶなら、リスクと価格のバランスを最も重視します。
最高レベルの安心感|キャリア認定中古品
ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアが提供する認定リユース品です。品質管理のレベルが最も高く、安全性を最優先するなら最適な選択肢です。
- メリット|徹底した検査とデータ消去、バッテリー容量80%以上保証、30日間の交換保証など、サポートが手厚い。
- デメリット|価格が最も高い傾向があり、モデルや色の選択肢が少ない。
バランスの取れた選択肢|中古スマホ専門店
イオシスやにこスマ、ゲオなど、中古デバイスの販売を専門に行う事業者です。オンラインストアや実店舗があり、豊富な在庫から選べます。
- メリット|キャリア認定品より安価で、個人間取引より格段に安全。「赤ロム永久保証」が付いていることが多く、万が一の際も安心。
- デメリット|フリマアプリよりは高価。店舗によって検査基準や保証内容が異なる。
安さの裏にある高リスク|フリマアプリ・個人間取引
メルカリやヤフオクなど、個人同士が直接取引するプラットフォームです。最も安く手に入る可能性がありますが、その分リスクも最大になります。
- メリット|掘り出し物が見つかれば、市場最安値で手に入る。
- デメリット|保証は一切なく、赤ロムやアクティベーションロックなどのトラブルに遭遇するリスクが最も高い。全ての確認責任が購入者自身にあります。
フリマアプリを利用する際は、出品者の評価が低い、商品説明が曖昧、質問への回答をはぐらかすといった危険な兆候に最大限の注意を払う必要があります。
価格は適正?|人気モデルの相場と賢い選び方
安全な端末を見極める方法を学んだら、次は価格の妥当性を判断します。市場相場を知ることで、割高な買い物を避け、自信を持って購入を決断できます。
価格が決まる仕組み|価値を左右する要因
中古iPhoneの価格は、いくつかの要素で決まります。これらを理解しておくと、価格交渉や判断の際に役立ちます。
- モデルと世代|新しいほど高価です。
- ストレージ容量|大きいほど高価です。
- 端末の状態|傷が少なく美品であるほど高価です。
- バッテリー最大容量|85%以上など、健康なほど価値が上がります。
- 販売チャネル|保証が手厚いキャリアや専門店は高価になります。
人気モデルの価格相場一覧
ここでは、人気モデルの市場価格の目安を状態別に示します。目の前の端末がこの価格帯から大きく外れていないかを確認するためのベンチマークとして活用してください。
iPhone SE (第2世代) の推定市場価格
| ストレージ容量 | 状態|良好 (A/Bランク相当) | 状態|許容 (Cランク相当) |
| 64GB | 17,000円 – 23,000円 | 14,000円 – 17,000円 |
| 128GB | 20,000円 – 26,000円 | 17,000円 – 20,000円 |
| 256GB | 26,000円 – 30,000円 | 21,000円 – 26,000円 |
iPhone 12 の推定市場価格
| ストレージ容量 | 状態|良好 (A/Bランク相当) | 状態|許容 (Cランク相当) |
| 64GB | 35,000円 – 45,000円 | 28,000円 – 35,000円 |
| 128GB | 42,000円 – 54,000円 | 35,000円 – 42,000円 |
| 256GB | 49,000円 – 62,000円 | 40,000円 – 49,000円 |
iPhone 13 の推定市場価格
| ストレージ容量 | 状態|良好 (A/Bランク相当) | 状態|許容 (Cランク相当) |
| 128GB | 55,000円 – 65,000円 | 45,000円 – 55,000円 |
| 256GB | 65,000円 – 75,000円 | 54,000円 – 65,000円 |
| 512GB | 70,000円 – 85,000円 | 59,000円 – 70,000円 |
最高の価値を手に入れる戦略
価格表を参考に、自分の予算と必要な性能のバランスを考えます。基本的な用途であればiPhone SE (第2世代)はコストパフォーマンスに優れます。5G対応や高性能なカメラを求めるなら、iPhone 12や13が良い選択肢です。一つ新しい世代との価格差を見て、少し予算を追加する価値があるかを検討するのも賢い方法です。
まとめ|失敗しない中古iPhone選びの黄金律

中古のSIMフリーiPhone選びは、正しい知識があれば決して怖いものではありません。心に刻むべき3つの黄金律を覚えておけば、きっと満足のいく一台に出会えます。
3つの黄金律
- 信じるな、だが検証せよ|販売者の言葉だけでなく、自分の目で必ず確認します。
- ロックは取引中止の合図|赤ロムやアクティベーションロックの問題があれば、即座に取引をやめます。
- 安心には対価を払え|少し高くても、保証が手厚い専門店から買う方が、結果的に賢い選択になることが多いです。
これらの知識を羅針盤として、ぜひあなたにとって最高のiPhoneを見つけ出してください。


