ahamoに乗り換えて、その料金の安さに満足している方は多いでしょう。しかし、ビジネスシーンなどで必須の「転送電話サービス」が使えないことに気づき、困惑している方もいるのではないでしょうか。
私がまさにその一人で、仕事の電話を事務所に転送できなくなり、一時は途方に暮れました。この記事では、ahamoで転送電話を使うための最適な解決策を、私の経験を交えて詳しく解説します。結論から言うと、デュアルSIMの活用が最も賢い選択です。
ahamoで転送電話が使えない決定的な理由
ahamoで転送電話サービスが利用できないのは、単なる機能漏れではありません。ahamoのビジネスモデルそのものに起因する、意図的な設計上の決定です。
サービス簡素化というビジネスモデル
ahamoは、データ通信やSNSを主に使うデジタルネイティブ層をターゲットにしています。この戦略に基づき、サービス内容を徹底的にシンプルにすることで、あの驚くべき低価格を実現しています。
転送電話や留守番電話、キャッチホンといった従来の電話付加サービスを省くことは、コストを削減し、シンプルな料金プランを維持するための重要な選択なのです。ドコモの既存プランからahamoへ変更すると、これらのサービスは自動的に解約されます。
代わりになる？「着信通知サービス」の限界
ahamoには「着信通知サービス」という機能が無料で標準装備されています。これは電源オフや圏外の時にかかってきた電話の発信者番号と時間を、後からSMSで知らせてくれるサービスです。
一見便利に思えますが、これはあくまで「電話に出られなかった」という事実を事後的に知らせるものに過ぎません。リアルタイムで着信を別の電話へつなぐ転送電話の役割は、まったく果たせないのです。ビジネスの重要な電話を逃してしまうリスクは残ったままです。
それ、間違いかも？転送電話の不適切な代替策
ahamoで転送電話が使えないと知った時、多くの人がスマートフォン本体の機能や、IP電話アプリで何とかならないかと考えます。しかし、これらの方法は根本的な解決にはなりません。
スマートフォン本体の機能は代替にならない
iPhoneやAndroidに搭載されている応答機能は、あくまで「留守番電話」の代替であり、転送電話とは全く異なるものです。
iPhoneの「ライブ留守番電話」は留守電機能
iOS 17以降で使える「ライブ留守番電話」は、相手のメッセージをリアルタイムで文字起こししてくれる高機能な留守番電話です。しかし、iPhone本体の電源がオフだったり圏外だったりした場合には機能しません。
当然ながら、別の電話番号へ着信を転送する力はありません。
Androidの「伝言メモ」も同様
国内メーカー製のAndroidスマートフォンに多い「伝言メモ」や「簡易留守録」も同じです。スマートフォン本体が着信に応答し、音声を録音する機能に過ぎません。
これも、本体の電源が入っていて電波が届く範囲にいることが大前提です。確実なバックアップにはなり得ないのです。
IP電話アプリが解決策にならない技術的な壁
SMARTalkのようなIP電話アプリを契約し、そこの050番号へ転送すれば良いのでは、と考えるかもしれません。私も最初はこれを検討しました。しかし、この方法は技術的に不可能です。
着信を外部のIP電話アプリへ転送するには、大元であるahamoの回線が「外部へ電話を転送する」という機能を持っている必要があります。ahamoにはその機能自体が存在しないため、ahamoの電話番号にかかってきた電話は、ahamoのネットワークから外に出ることができないのです。どんなアプリを使っても、この壁は越えられません。
最適解はこれ！デュアルSIMで全て解決する戦略
ahamoの圧倒的なデータ通信コストパフォーマンスを維持しつつ、ビジネスに必須の転送電話機能を手に入れる。この難題を解決する唯一にして最高の方法が「デュアルSIM」の活用です。
デュアルSIMとは？｜1台のスマホで2つの回線を使う技術
最近のスマートフォンの多くは、物理的なSIMカードと、データでSIM情報を書き込むeSIMの両方に対応しています。これにより、1台のスマートフォンで2つの通信会社の回線を同時に待ち受け状態にできます。
つまり、2つの電話番号と2つの料金プランを、1台のスマホで賢く使い分けることが実現します。
ahamoと二次SIMの役割分担が重要
デュアルSIMを成功させる鍵は、明確な役割分担です。私が実践している戦略は以下の通りです。
- ahamo SIM｜データ通信と自分から電話をかける発信専用に使う
- 二次SIM｜転送電話サービスを提供している他社のSIMを契約し、着信専用として使う
この戦略のポイントは、外部に知らせるメインの電話番号を「二次SIM」のものに統一することです。こうすれば、全ての着信は転送機能を持つ二次SIMが受け止め、そこから設定した転送先（ahamoの番号やオフィスの固定電話など）へ確実に転送されます。データ通信はahamoを使うので、通信コスト全体を低く抑えることができます。
目的別｜ahamoと組み合わせるべき最強の二次SIMはこれだ
デュアルSIM戦略の心臓部となるのが、どの通信会社を二次SIMとして選ぶかです。ここでは、私が徹底的に比較検討した結果、最適と判断した3つのサービスを紹介します。
【コスト最優先】povo 2.0｜月額0円で転送機能を維持
とにかく固定費をかけずに転送電話機能を備えたいなら、povo 2.0一択です。基本料金0円で、転送電話サービス自体の月額料金も無料です。
| メリット | デメリット |
| 月額固定費が完全に0円 | 実際に転送されると通話料（22円/30秒）がかかる |
| 必要な時だけ費用が発生する合理的な仕組み | 留守番電話サービスは別料金（月額330円） |
利用頻度が低いけれど、いざという時のために転送機能は手放せない、という方に最適な選択肢です。
【信頼性重視】LINEMO｜月額220円の安心感
ビジネス用途で、コストよりも信頼性や利便性を重視する方にはLINEMOがおすすめです。月額220円の「留守番電話パック」に加入することで、転送電話と留守番電話の両方が使えるようになります。
| メリット | デメリット |
| 転送電話と留守番電話がセットで使える | 月額220円の固定費がかかる |
| 予算が立てやすく、管理が楽 | |
| 転送先で出られない場合の二重のバックアップになる |
月々わずか220円の投資で、ビジネスの機会損失を防ぐ安心感を得られるのは大きな魅力です。私も最終的にこのLINEMOを選びました。
【上級者向け】楽天モバイル｜無料の可能性と複雑さ
技術的な仕組みを理解し、コストを極限まで最適化したい上級者には楽天モバイルという選択肢もあります。転送電話サービスの月額料金は無料で、特定の条件下では転送時の通話料も無料になります。
| メリット | デメリット |
| 月額料金・転送通話料ともに無料になる可能性がある | 料金が無料になる条件が非常に複雑で難解 |
| 留守番電話サービスも無料で利用できる | 条件を外れると意図せず高額な通話料が発生するリスクがある |
発信者が楽天モバイルの「Rakuten Link」アプリを使っているなど、特定の条件を満たした場合にのみ転送通話料が無料になります。この複雑さを許容できるのであれば、強力な選択肢となり得ます。
サービス比較表で一目瞭然
3つのサービスの特徴を一覧表にまとめました。ご自身の使い方に最も合うサービスを選んでください。
| 項目 | povo 2.0 | LINEMO | 楽天モバイル |
| 転送サービスの月額料金 | 無料 | 月額220円（税込） | 無料 |
| 転送時の通話料 | 有料（22円/30秒） | 有料 | 条件付きで無料または有料 |
| 留守番電話 | 別途有料 | パックに含まれる | 別途無料 |
| おすすめユーザー | コスト最優先の人 | 信頼性・利便性を重視する人 | 技術を理解できる上級者 |
【簡単4ステップ】デュアルSIMの導入から設定まで
デュアルSIMの導入は、思ったよりもずっと簡単です。ここでは、私が実際に行った手順を4つのステップで解説します。
STEP1｜二次SIMを契約する
povo 2.0、LINEMO、楽天モバイルの中から自分に合ったサービスを選び、公式サイトから申し込みます。この時、物理的なSIMカードが送られてくるのを待つ必要がない「eSIM」を選択するのがおすすめです。早ければ即日で開通します。
STEP2｜スマートフォンにeSIMを追加する
契約が完了したら、スマートフォンにeSIMを設定します。iPhoneなら「設定」アプリから「モバイル通信」へ進み、「eSIMを追加」を選択します。通信会社から送られてくるQRコードを読み取るだけで設定は完了です。
STEP3｜回線の役割を設定する
次に、2つの回線の役割を決めます。どちらを音声通話のメインにするか、どちらをデータ通信に使うかを設定画面で指定します。私の場合は、データ通信を「ahamo」、音声通話を「LINEMO（二次SIM）」に設定しています。
STEP4｜転送電話を設定し周知する
最後に、二次SIMのキャリアが指定する方法で転送電話サービスを有効にします。特番に電話をかけたり、専用アプリで設定したりします。転送先にahamoの電話番号や会社の固定電話番号を登録すれば、全て完了です。
これ以降は、外部への連絡先として二次SIMの電話番号を案内することを忘れないでください。
まとめ
ahamoは非常に優れた料金プランですが、転送電話が使えないという一点がビジネス利用の大きな障壁となります。しかし、今回紹介したデュアルSIM戦略を活用すれば、この問題は完璧に解決できます。
ahamoのデータ通信の安さと、二次SIMが提供する転送電話機能。この二つを賢く組み合わせることで、通信コストを抑えながら、ビジネスチャンスを逃さない理想的な通信環境を構築できます。私自身、この方法でahamoの恩恵を最大限に受けながら、安心して仕事の電話を受けられるようになりました。ぜひ、あなたも試してみてください。