韓国旅行の計画で、意外と頭を悩ませるのがインターネット接続の方法ではないでしょうか。地図アプリを使ったり、SNSに素敵な写真をアップしたり、今やスマホは海外旅行に欠かせないアイテムです。快適なネット環境は、旅の満足度を大きく左右します。
私が韓国へ行く際も、どの通信手段を選ぶかには毎回こだわります。選択肢は主に「レンタルポケットWi-Fi」「物理SIMカード」「eSIM」の3つ。それぞれに良い点と注意点があり、あなたの旅行スタイルによって最適な答えは変わります。
この記事では、それぞれの特徴を料金や利便性の面から徹底的に比較し、あなたが後悔しないためのベストな選択を解説します。

韓国でのネット接続|Wi-Fi・SIM・eSIMを徹底比較

韓国でインターネットに接続するには、大きく分けて3つの方法があります。それぞれの仕組みと、メリット・デメリットを理解することが、最適な選択への第一歩です。自分のスマホスキルや旅行スタイルと照らし合わせながら、どの方法が一番しっくりくるか考えてみましょう。
レンタルポケットWi-Fi|グループ利用の王道
レンタルポケットWi-Fiは、現地の通信網に接続する持ち運び可能なルーターです。このルーターがWi-Fiの基地局となり、自分のスマホやパソコンを接続します。
メリット
- 複数人・複数台で共有できる|1台契約すれば、家族や友人と複数人で同時に利用できます。これが最大の利点です。
- 設定が簡単|スマホの設定は一切不要。電源を入れて、Wi-Fiのパスワードを入力するだけで接続できます。
- SIMロックの心配なし|どんなスマホでもWi-Fi機能さえあれば使えるので、SIMロックの有無を気にする必要がありません。
デメリット
- 荷物になる|ルーター本体を常に持ち歩く必要があります。
- 充電が必要|スマホとは別に、ルーターの充電も管理しなければなりません。バッテリーが切れると全員がネットを使えなくなります。
- 受取・返却の手間|出発前に空港や宅配で受け取り、帰国後に返却する手続きが必要です。
物理SIMカード|荷物を増やしたくない個人旅行向け
物理SIMカードは、スマホに挿入されている小さなICチップです。日本で使っているSIMカードを、韓国で使えるSIMカードに差し替えて利用します。
メリット
- 持ち物が増えない|一度スマホに挿入すれば、追加の機器を持ち運ぶ必要はありません。
- 個人利用なら安い|一人旅の場合、レンタルWi-Fiより料金を抑えられることが多いです。
- 電話番号付きプランもある|プランによっては韓国の電話番号が使え、現地のレストラン予約などで便利です。
デメリット
- SIMロック解除が必須|お使いのスマホがSIMフリー端末である必要があります。キャリアで購入したスマホは事前にSIMロック解除手続きが必要です。
- SIMカード紛失のリスク|日本で使っているSIMカードを旅行中、失くさないように保管しなければなりません。
- 設定が必要な場合がある|APN設定という、手動でのネットワーク設定が求められることがあります。
eSIM|最先端の利便性を求めるならこれ一択
eSIMは、スマホ本体に組み込まれたデジタルなSIMです。物理的なカードの差し替えは不要で、QRコードを読み込むだけで設定が完了します。
メリット
- オンラインで全て完結|購入から設定まで、すべてネット上で行えます。空港で並んだり、機器を受け取ったりする手間が一切ありません。
- 物理的リスクがゼロ|SIMカードの紛失や破損の心配がありません。
- デュアルSIM|日本のSIMと韓国のeSIMを両方有効にできます。データ通信は韓国eSIM、電話の着信は日本の番号といった使い分けができます。
デメリット
- 対応機種が限られる|比較的新しい技術のため、iPhone XS/XR以降など、一部の機種でしか利用できません。
- オンライン設定のみ|設定は簡単ですが、完全にデジタルな手続きです。万が一トラブルが起きても、物理的なカウンターでのサポートは受けられません。
【結論】あなたの旅行スタイル別|最適な選択肢はこれだ

結局のところ、どの方法が一番良いのでしょうか。ここでは、あなたの旅行の目的やメンバー構成に合わせて、私がおすすめするベストな選択肢を結論からお伝えします。
グループ・家族旅行なら「レンタルWi-Fi」
複数人で旅行するなら、レンタルWi-Fiが最も経済的で簡単です。1台のWi-Fiルーターをみんなで共有すれば、1人あたりのコストを大幅に下げられます。
代表者1人がルーターの管理をするだけで、全員がインターネットに接続できる手軽さが魅力です。メンバーそれぞれのスマホのSIMロック状況や対応機種を気にしなくて済むのも、大きなメリットと言えるでしょう。
一人旅・最新技術が好きなら「eSIM」
一人旅で、身軽さを重視するならeSIMが圧倒的におすすめです。ポケットWi-Fiのように荷物が増えず、充電の心配もありません。購入から設定までオンラインで完結するので、旅行直前でも準備できます。
デュアルSIM機能を使えば、日本の電話番号にかかってくる着信を受けつつ、データ通信は割安な韓国のプランを使うというスマートな運用ができます。テクノロジーに抵抗がない方にとっては、これ以上ないほど便利な選択肢です。
スマホ設定が苦手なら「レンタルWi-Fi」
「SIMロック解除やAPN設定は、なんだか難しそう」と感じる方には、レンタルWi-Fiが一番安心です。普段、自宅やカフェでWi-Fiに接続するのと同じ感覚で使えるため、特別な知識は何もいりません。
スマホの設定を一切変更しないので、帰国後に元に戻す手間もありません。とにかく簡単で確実にネットを使いたい、というニーズに完璧に応えます。
現地サービスを使いこなしたいなら「電話番号付きSIM/eSIM」
韓国の人気レストランやカフェでは、スマホで順番待ちの登録をするのが一般的です。このとき、SMS(ショートメッセージ)で呼び出し通知を受け取るために、韓国の電話番号(「010」で始まる番号)が必要になるケースが多々あります。
データ通信専用のプランでは、この番号が手に入りません。より深く、スムーズに現地での体験を楽しみたいなら、少し料金が上がっても電話番号付きのSIMカードやeSIMプランを選ぶ価値は十分にあります。
料金と利便性を深掘り|どっちがお得で便利?

ここからは、なぜ上記のような結論になるのか、その根拠となる料金や利便性の具体的な比較を見ていきます。数字や客観的なデータを知ることで、さらに納得して自分に合ったプランを選べるはずです。
料金比較|利用人数で損得が変わる
「結局、どれが一番安いの?」というのは最も気になるところです。答えは、旅行する人数によって変わります。
シナリオ | 選択肢 | 1日あたり料金の目安(1人あたり) | 3日間総額(1人あたり) | 5日間総額(1人あたり) |
個人旅行(1名) | レンタルWi-Fi | ¥790 | ¥2,370 | ¥3,950 |
eSIM | ¥470 | ¥1,410 | ¥2,350 | |
物理SIM | ¥540 | ¥1,620 | ¥2,700 | |
グループ旅行(3名) | レンタルWi-Fi | ¥263 | ¥790 | ¥1,317 |
eSIM | ¥470 | ¥1,410 | ¥2,350 | |
物理SIM | ¥540 | ¥1,620 | ¥2,700 |
この表が示すように、一人旅ならeSIMが最も安く、3人以上のグループならレンタルWi-Fiを割り勘するのが最もお得です。物理SIMはeSIMより少し高い傾向にありますが、eSIM非対応機種を使っている場合の有力な選択肢となります。
利便性比較|手間とリスクを天秤にかける
料金だけでなく、準備や現地での手軽さも重要な判断基準です。時間や労力といった、目に見えないコストも考慮しましょう。
評価項目 | レンタルWi-Fi | 物理SIMカード | eSIM |
設定の複雑さ | ★★☆ (簡単) | ★☆☆ (少し手間) | ★★★ (非常に簡単) |
持ち物 | ★☆☆ (多い) | ★★★ (なし) | ★★★ (なし) |
バッテリー管理 | ★☆☆ (必要) | ★★★ (不要) | ★★★ (不要) |
受取・返却 | ★☆☆ (必須) | ★★☆ (必要な場合あり) | ★★★ (不要) |
紛失・破損リスク | ★☆☆ (ルーターと日本SIM) | ★★☆ (日本SIMのみ) | ★★★ (なし) |
評価|★★★ 非常に良い、★★☆ 良い、★☆☆ 手間がかかる |
利便性ではeSIMが圧倒的です。物理的な手間やリスクがほとんどありません。一方で、スマホの設定に一切触れたくない人にとっては、パスワード入力だけで済むレンタルWi-Fiのシンプルさが最大の利便性と感じられるでしょう。
通信品質と注意点|「無制限」の落とし穴
韓国は世界トップクラスのIT先進国で、SKT、KT、LG U+という大手通信キャリアが国中をカバーしています。そのため、どの方法を選んでも、通信速度や安定性に大きな差は出にくいです。
ただし、「データ無制限」プランには注意が必要です。多くのプランでは、1日に決められた高速データ容量(例|3GB)を使い切ると、通信速度が極端に遅くなる速度制限がかかります。この制限後の速度では、動画視聴はもちろん、地図アプリの表示も困難になることがあります。プランを選ぶ際は「無制限」の文字だけでなく、高速データを何GBまで使えるのか、その後の速度はどれくらいかを必ず確認しましょう。
これで安心!出発前の準備と設定ガイド

利用したい通信手段が決まったら、あとは出発に向けて準備を進めるだけです。ここでは、事前に確認すべきことや、現地での具体的な設定方法を解説します。
出発前の必須チェックリスト
SIMカードやeSIMを利用する場合は、お使いのスマホが対応しているか必ず確認が必要です。
SIMロックの確認方法
- iPhone|「設定」>「一般」>「情報」と進み、「SIMロック」の項目が「SIMロックなし」になっていればOKです。
- Android|「設定」>「デバイス情報」>「SIMカードステータス」などで確認できます(機種により表示が異なります)。「許可されています」などの表示ならSIMフリーです。
eSIM対応機種の確認方法
- iPhone|「設定」>「モバイル通信」に「eSIMを追加」という項目があれば対応しています。
- Android|電話アプリで「*#06#」とダイヤルし、EIDという番号が表示されれば対応機種です。
簡単ステップ|現地での設定方法
現地に着いてから慌てないように、設定の流れを頭に入れておきましょう。
物理SIMカードの設定手順
- スマホの電源を切ります。
- SIMピンを使ってSIMトレイを取り出します。
- 日本のSIMカードを失くさないようにケースなどに保管し、代わりに韓国用のSIMカードをセットします。
- 電源を入れると、多くは自動で現地の電波を掴みます。繋がらない場合は、説明書に従ってAPN設定を行います。
eSIMのアクティベート手順
- 出発前(日本)|Wi-Fi環境で、購入サイトから送られてきたQRコードをスマホで読み込み、プランをインストールします。この時点ではまだ有効にせず、オフにしておきます。
- 到着後(韓国)|飛行機が着陸したら、設定画面からインストールしたeSIMの回線をオンにし、「データローミング」もオンにします。高額請求を防ぐため、日本の回線はオフにするか、データローミングがオフになっていることを必ず確認してください。
主要な購入先と事業者|どこで買うのがおすすめ?
料金やサービスの質は、どの事業者から購入するかによっても変わります。
レンタルWi-Fi事業者
- グローバルWiFi|業界最大手の一つ。利用者も多く、キャンペーンを頻繁に行っており比較的安価に利用できます。
- WiFiBOX|空港に設置されたセルフ端末で、非接触で受取・返却が完結するのが特徴です。モバイルバッテリー機能も内蔵しています。
- イモトのWiFi|知名度が高く安心感がありますが、料金は他社と比較するとやや割高な傾向です。
SIM/eSIMの販売プラットフォーム
- コネスト|韓国旅行情報に特化したサイト。大手キャリアSKTの高品質なプランを扱っており、日本語サポートも充実しています。
- Klook(クルック)|世界的な旅行アクティビティ予約サイト。非常に競争力のある価格でeSIMなどを販売しており、ユーザーからの人気も高いです。
- KKday|Klookと並ぶ大手プラットフォーム。多様なプランを割引価格で提供しており、選択肢が豊富です。
これらのプラットフォームは、韓国の大手キャリアであるSKTやKTの回線を利用したプランを販売しています。単に価格だけで選ぶのではなく、どの通信キャリアの回線を使っているか、データ容量の条件はどうかも見て選ぶのが、快適な通信環境を手に入れるコツです。
まとめ

韓国旅行のインターネット接続方法は、Wi-Fi、物理SIM、eSIMと選択肢が豊富です。それぞれにメリット・デメリットがあり、「これが絶対の正解」というものはありません。大切なのは、あなたの旅行スタイルを考えることです。
- グループ旅行や設定が苦手な方|レンタルWi-Fi
- 身軽さを求める一人旅の方|eSIM
- eSIM非対応機種でコストを抑えたい方|物理SIMカード
この記事を参考に、あなたの韓国旅行にぴったりの通信手段を見つけて、ストレスフリーで快適な旅を楽しんでください。