子どものスマホデビューは、多くの保護者が頭を悩ませる問題です。安全やコミュニケーション手段として持たせたい一方、高額な通信費やネットの危険も心配です。私も同じように悩む一人です。
そんな中、楽天モバイルが打ち出した「最強こどもプログラム」は、その衝撃的な価格で注目を集めています。しかし、安さの裏に何か見落としはないか、本当に安全に使えるのか、気になるところです。この記事では、保護者の視点でこのプログラムを徹底的に解剖し、本当に「最強」なのかを判断します。
楽天モバイル「最強こどもプログラム」とは?料金と仕組みを解説
このプログラムの核心は、独立した子ども専用プランではない点です。大人が使う「Rakuten最強プラン」に、年齢に応じた割引が適用される仕組みです。
驚きの料金設定|月額528円のカラクリ
広告で見る「月額528円(税込)」という価格は、特定の条件を満たした場合の最安値です。この料金を実現するには、以下の2つの割引を組み合わせる必要があります。
- 最強こどもプログラム割引|データ利用量が月3GB以下の場合、440円(税込)割引
- 最強家族プログラム割引|家族グループ参加で、110円(税込)割引
「Rakuten最強プラン」の3GBまでの料金は1,078円(税込)です。ここから2つの割引(合計550円)が適用され、結果として528円(税込)になります。
もしデータ利用量が3GBを超えると、「最強こどもプログラム」の割引額が440円から110円に減額されます。その結果、月額料金は1,958円(税込)(3GB超〜20GBまでのプラン料金2,178円から、こども割110円と家族割110円を引いた額)へと大幅に上がります。この3GBの壁が、最大のポイントです。
12歳以下が対象|大人と同じプランを割引価格で
このプログラムの対象は、12歳以下の子どもです。割引は13歳になる誕生月の前月まで適用されます。
13歳になると、自動的に「最強青春プログラム」へと移行します。これは22歳までデータ無制限が実質2,838円(税込)などで使えるプログラムで、改めて手続きする必要はありません。
注意点|3GB超過と対象外サービス
安さが魅力ですが、いくつか重要な注意点があります。最も重要なのは、データ利用量の上限を設定する機能がないことです。保護者が利用状況を管理しないと、3GBを少し超えただけで料金が跳ね上がります。
専用アプリ「Rakuten Link」を使えば国内通話は無料です。しかし、スマホ標準の電話アプリから発信すると、30秒あたり22円の通話料がかかります。子どもには「電話は必ずこのアプリから」と教える必要があります。
「Apple Watch ファミリー共有」には対応していません。Apple Watchを最初のデバイスとして考えている家庭には不向きです。
【レビュー】最強こどもプログラムのメリット・デメリット
私が実際に調べた上で感じる、このプログラムの良い点と注意が必要な点をレビューします。
メリット|通話無料と低価格
最大のメリットは、やはり価格です。保護者がデータ管理を徹底できるなら、月額528円(税込)でフル機能のスマホが持てるのは破格です。
- 圧倒的な低価格|3GB以下の利用なら他社を圧倒する安さです。
- 国内通話が無料|「Rakuten Link」アプリ経由なら、家族以外への通話も無料です。祖父母や友達と長電話しても安心です。
- 将来の手間がない|子ども本人名義で契約するため、成人したときの名義変更手続きが不要です。
デメリット|データ管理の手間と追加費用
安さを享受するには、保護者の努力が求められます。これが最大のデメリットと言えます。
- データ管理が必須|3GBの上限設定がないため、保護者が常に利用量をチェックする必要があります。
- フィルタリングが有料|子どもの安全を守るフィルタリングサービス「あんしんコントロール by i-フィルター」は、月額550円(税込)の別料金です。
- 契約手続きのハードル|契約は「子ども本人名義」が必須です。保護者名義では申し込めません。
- 一部サービス非対応|前述の通り「Apple Watch ファミリー共有」は使えません。
結局のところ、最安の528円で運用するには、フィルタリング代550円を加えた月額1,078円(税込)が実際の最低ラインとなります。
他社の子ども向けプランと徹底比較!楽天は本当に安い?
他社も子ども向けのプランを用意しています。楽天モバイルの立ち位置を比較してみます。
料金と機能で見るキャリア比較表
各社の3GB前後のプランを比較しました。楽天モバイルの安さが際立ちますが、auの「U12バリュープラン」のように、通信速度を制限することで使いすぎを防ぐプランもあります。
キャリア | プラン名 | 対象年齢 | 月額料金目安 (3GB前後) | データ超過時の対応 |
楽天モバイル | 最強こどもプログラム | 12歳以下 | 528円 (〜3GB) | 料金が上昇 |
NTTドコモ | U15はじめてスマホプラン | 15歳以下 | 1,628円 (5GB) | 速度制限 (128kbps) |
au | U12バリュープラン | 12歳以下 | 550円 | 速度制限 (300kbps) |
ソフトバンク | スマホデビュープラン+ | 5〜22歳 | 1,078円 (4GB, 初年度) | 速度制限 (300kbps) |
楽天モバイルの独自の強みとは
比較表から分かる楽天モバイルの戦略は、「キッズケータイの価格で、フル機能のスマホを提供する」という点です。
従来の大手キャリアは、低年齢向けには機能を絞った「キッズケータイ」を安価に提供し、スマホは高学年向けの「デビュープラン」としていました。楽天モバイルは、その中間の「低年齢からスマホを持たせたいが、料金は抑えたい」という層の需要を的確に捉えています。データ管理の手間と引き換えに、圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。
子どもの安全は守れる?フィルタリングサービスをチェック
安いだけでなく「安全」かどうかも重要です。楽天モバイルでは、法律に基づきフィルタリングサービスの利用が求められます。
法律で義務付け「あんしんコントロール by i-フィルター」
18歳未満の子どもが契約する場合、フィルタリングサービスへの加入が原則必須です。楽天モバイルでは「あんしんコントロール by i-フィルター」が用意されています。
料金は月額550円(税込)で、初回申込に限り最初の3カ月は無料です。もし利用しない場合は、保護者が「フィルタリングサービスを利用しない旨の申出書」を提出する必要があります。
具体的な機能|位置情報や利用制限
このサービスには、子どもの安全を守るための機能が揃っています。
- 位置情報の確認|子どもの現在地や移動履歴を確認できます。
- ウェブ・アプリの制限|不適切なサイトやアプリの利用を制限します。
- 利用時間の管理|スマホの使いすぎを防ぐため、利用時間を制限できます。
- 利用状況の確認|子どもが閲覧したサイトや検索ワードを保護者に通知します。
ただし、これらの制限機能はiOS(iPhone)よりもAndroid端末の方が強力に働きます。どの程度厳しく管理したいかによって、選ぶスマホのOSも検討材料になります。
ツールだけでは不十分|家庭でのルール作り
フィルタリングソフトは万能ではありません。最も大切なのは、家庭内でスマホの使い方について話し合い、ルールを決めることです。
ツールはあくまで補助として使い、親子間の対話を通じて、子ども自身がネットのリスクを理解し、正しく使う力を育てることが不可欠です。
申し込み前に必読!契約手続きの完全ガイド
「最強こどもプログラム」の契約は、通常の契約と異なる点が多いため、事前の準備が重要です。
必須条件|「子ども本人名義」での契約
このプログラムを適用するには、必ず子ども本人名義で契約しなければなりません。保護者名義の契約で、子どもを利用者登録する形では割引対象外です。
手続きには、まず子ども名義の楽天IDを作成する必要があります。少し手間に感じますが、これにより「最強青春プログラム」への自動移行など、年齢に応じた割引が将来もスムーズに受けられます。
オンラインと店舗|申し込み手順と必要書類
申し込みはオンライン(Web)と楽天モバイルショップ(店舗)のどちらでも行えます。必要な書類が異なるため注意してください。
【共通で必要なもの】
- 子ども本人名義の楽天IDとパスワード
- 保護者(法定代理人)の同意書 兼 支払名義人同意書|公式サイトからダウンロードし、保護者が記入・署名
- 保護者名義のクレジットカードまたは銀行口座
【子ども本人の確認書類】
(以下のいずれか1点)
- マイナンバーカード(原本)
- 健康保険証(原本) + 住民票(原本)
【店舗申込時のみ追加で必要なもの】
- 保護者自身の本人確認書類(運転免許証など)
- 契約者(子ども)と保護者の両方の来店
オンライン申込は自宅で完結しますが、書類のアップロードが必要です。店舗申込はスタッフのサポートを受けられますが、親子揃って来店する必要があります。
忘れてはいけない|開通後のエントリー作業
契約が完了し、SIMが開通しただけでは割引は適用されません。
開通後、「my 楽天モバイル」アプリに子ども名義の楽天IDでログインします。アプリのホーム画面に表示される「最強こどもプログラム」のバナーをタップし、手動で「参加する」ボタンを押す必要があります。このエントリー作業を忘れると割引が始まらないため、絶対に忘れないでください。
まとめ|「最強こどもプログラム」はこんな家庭におすすめ
楽天モバイルの「最強こどもプログラム」は、条件さえ合えば間違いなく「最強」のコストパフォーマンスを誇ります。
私が考える、このプログラムに最適なのは次のような家庭です。
- 子どものデータ利用量を月3GB以下に管理できる家庭
- フィルタリング代(月額550円)を含めた総額で判断できる家庭
- 「Rakuten Link」での通話方法を子どもにしっかり教えられる家庭
- 子ども名義での契約や書類準備の手間を惜しまない家庭
逆に、データ管理に自信がない、あるいは「Apple Watch ファミリー共有」が必須という家庭には不向きです。
このプログラムは「安さ」と「保護者の管理」がセットになっています。その特性を理解した上で選ぶなら、これ以上ない選択肢となるはずです。