eSIMのクイック転送に失敗すると、本当に焦りますよね。私も新しいスマートフォンを前に「どうしてできないんだ」と途方に暮れた経験があります。ですが、安心してください。失敗には必ず原因があり、正しい手順を踏めば解決できます。
この記事では、eSIMクイック転送ができない主な原因から、正しい再試行の手順、そして最終的な代替手段までを網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたのeSIM移行は必ず完了します。
eSIMクイック転送が失敗する主な原因|最初に確認すべきこと
転送がうまくいかない時、多くの場合は基本的な設定や条件を見落としています。私が確認しているチェックリストを共有します。複雑な操作を試す前に、ここから確認しましょう。
端末・OSの互換性を確認する
クイック転送は、特定のデバイスとOSの組み合わせでしか動作しません。新旧両方の端末が条件を満たしているか確認が必要です。
特にiPhoneの場合、キャリアごと(ドコモ、au、ソフトバンクなど)に要求されるiOSのバージョンが異なる場合があります。例えば、ソフトバンクはiOS 17以降を要求するなど、Appleの基準より厳しいこともあるため、必ず契約キャリアの公式サイトで最新情報を確認してください。
BluetoothとWi-Fiの設定を見直す
eSIMのクイック転送は、デバイス同士がBluetoothで「会話し」、Wi-Fi(またはモバイルデータ通信)でeSIMプロファイルをダウンロードする仕組みです。
以下の3点は必須の確認項目です。
- 新旧両方の端末を物理的に近づける
- 両方の端末でBluetoothがオンになっている
- 両方の端末が安定したWi-Fiに接続されている(必須ではない場合もありますが、成功率が格段に上がります)
私が失敗した時は、旧端末のBluetoothがなぜかオフになっていました。こんな単純なミスが原因になることも多いです。
キャリア側の制限に該当していないか
デバイスに問題がなくても、契約内容が原因で転送できないケースがあります。これは見落としがちなポイントです。
最大の壁は「法人契約」です。auや楽天モバイルをはじめ、多くのキャリアでは法人契約の回線はクイック転送に対応していません。この場合は、後述する「eSIM再発行」の手続きが必要です。
見落としがちなデバイス設定
他にも、以下のようなデバイス側の設定が転送を妨げていることがあります。
- 旧端末のパスコード|パスコードが設定されていない、またはロック解除されていないと認証が進みません。
- 新端末のSIMロック|別のキャリアで購入した新端末にSIMロックがかかっていると、他社のeSIMを受け付けません。
- アカウント|新旧両方の端末で、同じApple ID(iPhone)またはGoogleアカウント(Android)にサインインしている必要があります。
失敗した時の正しい対処法と再試行の手順
原因をチェックしても解決しない場合、または原因を修正した後は、正しい手順で再試行します。焦って操作すると、余計に状況が悪化することもあります。
再試行の前に試すこと|再起動と設定リフレッシュ
一度失敗すると、デバイスが不安定な状態になっていることがあります。私が必ず行うのは、新旧両方のデバイスを再起動することです。
再起動は、一時的なソフトウェアの不具合を解消する最も簡単で効果的な方法です。再起動後、BluetoothとWi-Fiも一度オフにしてから再度オンに切り替え、接続をリフレッシュさせてから再試行しましょう。
【図解風】eSIMクイック転送の正しい手順ウォークスルー
ここではiPhoneを例に、正しい転送手順をステップバイステップで解説します。この流れを中断せずに行うことが成功の鍵です。
- 開始(新端末)|新しいiPhoneの「設定」アプリを開き、「モバイル通信」から「eSIMを追加」をタップします。「近くのiPhoneから転送」を選択してください。
- 認証(旧端末)|旧端末の画面に「電話番号を転送」というポップアップが出ます。「続ける」をタップします。
- 検証(新旧両端末)|新端末に6桁の検証コードが表示されます。旧端末にそのコードを入力します。
- 承認(旧端末)|旧端末で最終承認が求められます。「転送」をタップした後、サイドボタンをダブルクリックして物理的に転送を承認します。
- 完了(新端末)|新端末でアクティベートが開始されます。「モバイル通信設定完了」と表示されれば成功です。
このプロセスが完了すると、旧端末のSIMは自動的に無効化されます。新端末でWi-Fiをオフにし、モバイルデータ通信でネットに繋がるか確認しましょう。
クイック転送が無理な場合の代替手段|eSIM再発行
クイック転送が何度やってもうまくいかない、あるいは法人契約などでそもそも対象外だった場合。その時は、無理にクイック転送にこだわる必要は一切ありません。
「eSIM再発行」という、より確実な方法に切り替えましょう。これは失敗ではなく、正規の移行手段の一つです。
最も確実な方法|QRコードを使ったeSIM再発行
これは、キャリアのサーバーから新しいeSIM情報をQRコードとして発行してもらい、それを新端末で読み取る方法です。
手順の概要|
- PCやタブレットなど、新端末とは別のデバイスでキャリアの会員サイト(My docomoなど)にログインします。
- メニューから「eSIM再発行」の手続きに進みます。
- 画面に表示されたQRコードを、新しいiPhoneの「設定」>「eSIMを追加」>「QRコードを使用」でスキャンします。
この方法の唯一の課題は、QRコードを表示するためのPCや家族のスマホなど、2台目のデバイスが必要な点です。
アプリで完結するeSIM再発行(キャリア別)
ahamo、povo、楽天モバイルなどのキャリアは、専用アプリ内でeSIMの再発行手続きを完結できる仕組みを提供しています。
新端末にWi-Fi経由でキャリアの公式アプリをインストールし、ログインします。アプリの指示に従って再発行を申請すれば、QRコードのスキャンなしでeSIMプロファイルが端末に直接ダウンロードされます。これは非常に便利な方法です。
キャリア別|再発行手続きの重要ポイント
各キャリアには、再発行に関して独自のルールや注意点があります。特に重要なポイントをまとめました。
キャリア | クイック転送の注意点 | eSIM再発行の方法 |
NTTドコモ | iOS 16.4以降など条件あり。副回線は転送不可。 | ドコモオンラインショップのポータルサイトからQRコード発行。 |
ahamo | ドコモに準拠。 | ahamo専用アプリ内で手続き完結。 |
au | 法人契約は非対応(店舗手続き必須)。 | My auのウェブポータルからQRコード発行。 |
povo | povo2.0アプリからの再発行も対応。 | povo2.0アプリ内で手続き完結。 |
ソフトバンク | iOS 17以降と要件が厳しい。Androidは自社端末のみ。 | My SoftBankのポータルサイトからQRコード発行。 |
楽天モバイル | 法人契約は非対応。 | my楽天モバイル(アプリ/Web)からQRコード即時発行。 |
絶対にやってはいけないことと最終手段
eSIMの移行作業中、たった一つのミスが致命的な状況を招くことがあります。私が最も強く警告したいことと、万策尽きた時の対応を説明します。
旧端末のeSIMプロファイル削除は厳禁
これが最も重大なミスです。新しい端末で通信が確立されるまで、旧端末のeSIMプロファイルを絶対に手動で削除しないでください。
もし旧端末のeSIMを先に削除してしまうと、再発行手続きに必要なSMS認証(ワンタイムパスワード)が受け取れなくなります。こうなると自力でのオンライン手続きはほぼ不可能になり、電話サポートや店舗での対応が必須となります。
どうしても解決しない場合のキャリア別サポート窓口
すべての手順を試してもダメだった場合、問題はキャリア側のサーバーやシステムにあるのかもしれません。ためらわずにサポートセンターへ連絡しましょう。
その際、「クイック転送に失敗したこと」「eSIM再発行(QRコード)も試したがエラーになったこと」を具体的に伝えるとスムーズです。
キャリア | サービス名 | 電話番号(eSIM関連) |
NTTドコモ | ドコモ / ahamo | 0120-131-067 (オンラインショップセンター) |
au | au | 0120-914-367 (回線切り替え窓口) |
povo | povo | 電話サポートなし (公式サイトチャットのみ) |
ソフトバンク | ソフトバンク | ソフトバンク携帯から157 (総合案内) またはチャットサポート |
楽天モバイル | 楽天モバイル | 050-5434-4653 (有料) またはチャットサポート |
まとめ
eSIMのクイック転送は非常に便利な機能ですが、失敗すると大きな不安を感じます。しかし、この記事で解説した通り、失敗の原因は必ず特定できます。
まずはOSバージョンやBluetoothなどの基本設定を確認し、次にデバイスの再起動を試みましょう。それでもダメなら、eSIM再発行という確実な代替手段に切り替える判断が重要です。そして何より、旧端末のeSIMプロファイルは新端末が開通するまで絶対に削除しないでください。
この手順に従えば、あなたのeSIM移行は必ず成功します。落ち着いて一つずつ確認作業を進めましょう。