iPhoneで撮影した動画をSNSにアップしたいとき、「通行人の顔や子供の顔を隠したい」と感じる場面は多いでしょう。しかし、動いている顔にモザイクをかけ続けるのは、非常に手間がかかる作業です。
この記事では、私が実践しているiPhoneだけで完結する、動画内の動く顔にモザイクを自動で追従させる方法を解説します。高価な編集ソフトは一切不要です。無料アプリを使って、誰でも簡単にプライバシー保護ができるようになります。
iPhone標準アプリでモザイクはかけられる?
多くの人が最初に考えるのは、「iPhoneに元から入っているアプリでできないか?」ということでしょう。ここでは、その疑問に明確に答えます。
結論|標準アプリでの自動追従はできない
残念ながら、iPhoneに標準搭載されている「写真」アプリや「iMovie」には、動画内の動く対象にモザイクをかけ、自動で追従させる機能は備わっていません。これらのアプリは、あくまで基本的なカット編集やテロップ追加を目的としています。
静止しているものに対して、画像編集アプリでモザイク加工した素材を重ねる「裏技」も存在します。しかし、この方法は対象が少しでも動くとモザイクがずれてしまい、実用的ではありません。プライバシー保護を目的とする場合、この方法は全く適していないです。
なぜ専用アプリが必要なのか
動く対象にモザイクを追従させるには、「モーショントラッキング」という技術が必要です。この技術は、AIが動画内の特定の対象(顔や物体など)を認識し、その動きをフレームごとに自動で追いかけるものです。
標準アプリにはこの高度な機能がないため、サードパーティ製の動画編集アプリを利用する必要があります。幸い、現在では無料で利用できる非常に優秀なアプリが数多く存在します。
動く顔にモザイク!自動追従におすすめのアプリ

iPhoneで使える動画編集アプリはたくさんありますが、ここでは特にモーショントラッキング機能に優れ、無料で使えるものを厳選して紹介します。私が実際に使い比べて、本当に便利だと感じたアプリです。
おすすめアプリの機能比較表
どのアプリが自分に合っているか一目でわかるように、主要な機能を比較表にまとめました。特に「自動追従機能が無料で使えるか」と「ウォーターマーク(アプリのロゴ)の有無」は重要な選択基準になります。
機能 | CapCut | InShot | VLLO |
料金モデル | 基本無料 | 基本無料 | 基本無料 |
自動追従機能 | 無料 | 有料 | 有料 |
無料版のウォーターマーク | 条件付きで削除 | 広告視聴で削除 | なし |
操作性 | 初心者向け | 初心者向け | 初心者向け |
特徴 | TikTokとの連携に強い | 直感的な操作感 | ロゴなしでプロ級の仕上がり |
CapCut|無料で高機能な自動追従が魅力
メリット
CapCutの最大のメリットは、何と言っても高精度な自動追従(トラッキング)機能を無料で利用できる点です。通常、この機能は有料プランに含まれていることが多い中、無料で提供されているのは驚異的です。TikTokを運営する会社が開発しているだけあり、SNS向けの動画編集に必要な機能がすべて詰まっています。
デメリット
以前は完全にウォーターマークなしで書き出せましたが、最近のアップデートで、月に数回までしかロゴを非表示にできなくなりました。とはいえ、その機能性を考えれば、十分に許容できる範囲です。
InShot|広告視聴でウォーターマークを消せる
メリット
InShotは、非常にシンプルで直感的なインターフェースが特徴です。動画編集が初めての人でも、迷うことなく操作できるでしょう。無料版では、動画を書き出す際に短い広告を視聴することで、ウォーターマークを削除できるというユニークな方式を採用しています。
デメリット
肝心の自動追従機能は、有料の「InShot Pro」に登録しないと使えません。静止した箇所にモザイクをかけたい場合や、手動で位置を調整する手間を惜しまない場合には良い選択肢です。
VLLO|無料でウォーターマークなしが嬉しい
メリット
VLLOの最大の魅力は、無料版でもウォーターマークなしで動画を書き出せることです。アプリのロゴが入っていると、せっかくの動画が素人っぽく見えてしまうことがあります。それを無料で回避できるのは、大きなアドバンテージです。
デメリット
InShotと同様に、AIによる自動追従機能は有料プラン限定です。無料版では「部分設定」というキーフレーム機能を使って、手動でモザイクを動かすことになります。手間はかかりますが、こだわりの編集をしたい人には向いています。
【CapCutで解説】動く顔にモザイクを自動追従させる具体的な手順

ここでは、無料で自動追従機能が使える「CapCut」を例に、実際の操作手順をステップ・バイ・ステップで解説します。この通りに進めれば、誰でも簡単に対象を追いかけるモザイクを作成できます。
ステップ1|動画を読み込みオーバーレイする
CapCutを開き、「新しいプロジェクト」から編集したい動画を選択します。
次に、ツールバーから「オーバーレイ」を選び、「はめ込みオーバーレイを追加」をタップして、もう一度同じ動画を選択します。これで、同じ動画が2層に重なった状態になります。
ステップ2|モザイクエフェクトをかける
下のレイヤー(オーバーレイで追加した動画)を選択した状態で、ツールバーから「エフェクト」を探します。
「動画エフェクト」|「基礎」の中にある「モザイク」を選択します。これで、画面全体にモザイクがかかります。
ステップ3|マスク機能で範囲を指定する
再び下のレイヤーを選択し、ツールバーから「マスク」を選びます。
「円形」や「長方形」など、隠したい対象の形に合ったマスクを選択します。指でマスクの大きさや位置を調整し、モザイクをかけたい顔の部分だけに適用します。
ステップ4|トラッキング機能で自動追従させる
いよいよ最後のステップです。下のレイヤーを選択した状態で、ツールバーから「トラッキング」を選択します。
追跡したい顔に黄色い枠を合わせ、枠のサイズを調整します。位置が決まったら「トラッキング」ボタンをタップすると、AIが自動で顔の動きを解析し、モザイクが追従するようになります。
もっと知りたい!モザイク加工の応用テクニックと注意点
基本的な操作を覚えたら、さらに一歩進んだ知識で動画のクオリティと安全性を高めましょう。
モザイクとぼかしの違い|どっちを使うべき?
モザイク加工には、主にドット状にする「ピクセル化」と、すりガラスのようにする「ぼかし」の2種類があります。どちらを使うべきかは、目的によって異なります。
- ピクセル化(モザイク)|情報を完全に隠したい場合に適しています。顔や車のナンバープレートなど、個人情報を確実に保護したい場合はこちらを選びます。
- ぼかし|柔らかい印象を与えたい場合や、背景をぼかして被写体を際立たせたい場合に使います。動画の雰囲気を壊さずに、特定の部分だけを隠したいときに有効です。
そのモザイクは安全?|プライバシー保護の注意点
強度が低いモザイクやぼかしは、特殊なソフトウェアで復元されるリスクがゼロではありません。個人情報や機密情報を扱う場合は、より安全性を高める工夫が必要です。
最も確実な方法は、モザイクやぼかしではなく、黒い四角形などの完全に不透明な図形を上から重ねてしまうことです。CapCutでは「ステッカー」機能などを使って、黒い図形を追加し、それをトラッキングさせることで完璧なプライバシー保護が実現します。
まとめ

iPhoneの標準アプリだけでは、動画内の動く顔にモザイクをかけるのは困難です。しかし、無料のサードパーティ製アプリを使えば、誰でも簡単に自動追従するモザイク加工ができます。
- 無料で手軽に始めたいSNSクリエイター|CapCut
- 広告を見てもいいからロゴなしにしたい人|InShot
- 無料でロゴなしにこだわる人|VLLO
特にCapCutは、無料で高精度な自動追従機能を使えるため、最もおすすめです。この記事で紹介した手順を参考に、動画編集を楽しんでください。プライバシーに配慮した、素敵な動画を作成する手助けになれば幸いです。