ベトナムの活気あふれる街並み、美しい自然、そして美味しい料理。想像するだけでワクワクするベトナム旅行ですが、その体験をさらに快適でスムーズなものにするために欠かせないのが、インターネット接続環境です。かつてはポケットWi-Fiのレンタルや現地のSIMカード購入が主流でしたが、今や時代は「eSIM」一択と言っても過言ではありません。
私が初めてベトナムを訪れた際は、空港でSIMカードを購入するために長い列に並び、言葉の壁に苦労した経験があります。しかし、eSIMを知ってからは、私の旅は劇的に変わりました。日本にいる間に数分で設定を終え、ベトナムの空港に降り立った瞬間からインターネットに接続できる手軽さは、一度体験すると元には戻れません。この記事では、数あるベトナム向けeSIMの中から、あなたの旅行スタイルに本当に合った最高の1枚を見つけ出すお手伝いをします。
ベトナムeSIM選びで失敗しない5つのポイント
eSIM選びは、ただ安ければ良いというものではありません。データ容量やサポート体制など、いくつかの重要なポイントを押さえることで、現地で「つながらない!」といったトラブルを避け、快適な旅を実現できます。
データ容量|あなたの旅行スタイルが最適なプランを決める
eSIMを選ぶ上で最も基本的なのが、必要なデータ容量を見極めることです。自分の旅行スタイルを把握することが、無駄なく最適なプランを選ぶ第一歩となります。
ライトユーザー(短期滞在・Wi-Fi活用型)
3〜4日の短い旅行で、主にホテルやカフェのWi-Fiを使い、外出先では地図の確認やメッセージアプリの利用が中心という方であれば、1日あたり500MB〜1GB程度のプランで十分です。総量で3GBもあれば、安心して過ごせるでしょう。
一般的な旅行者(1週間程度の周遊型)
1週間ほどの滞在で、複数の都市を巡るような観光がメインの場合、GoogleマップでのナビゲーションやSNSへの写真投稿、配車アプリ「Grab」の利用などを考えると、1日あたり1GBは欲しいところです。7日間で5GBから10GB程度のプランが、バランスの取れた選択肢になります。
データヘビーユーザー(動画視聴・テザリング多用型)
移動中に動画を観たり、頻繁にビデオ通話をしたり、テザリングでPCや家族のスマホと接続を共有したりする使い方を想定しているなら、迷わず「データ無制限」プランを選びましょう。容量を気にするストレスから解放され、日本にいる時と同じようにインターネットを満喫できます。
料金|1GBあたりのコスパで真の価値を見抜く
eSIMの魅力の一つは、その圧倒的なコストパフォーマンスです。しかし、表示価格の安さだけで飛びついてはいけません。
「安い」の裏側を読む
例えば、100円台で提供されている激安プランは、一見すると非常に魅力的です。しかし、データ容量が0.5GBなど極端に少ない場合があり、結果的に「1GBあたりの単価」で計算すると割高になってしまうケースがあります。
価値を測る指標|1GB単価と1日単価
賢い選択のためには、「1GBあたりの料金」や「1日あたりの料金」を算出して比較することが有効です。これにより、各プランの真のコストパフォーマンスが見えてきます。特にデータ無制限プランは、その安心感と利便性を考慮すれば、多少価格が高くても結果的に満足度の高い投資となることが多いです。
サポート体制|トラブル発生時の命綱は日本語サポート
eSIMを初めて使う方や、スマートフォンの設定に不安がある方にとって、日本語サポートの有無は非常に重要な判断基準です。
「つながる安心」を日本語で
万が一、現地でインターネットに接続できないトラブルに見舞われた際、時差を気にすることなく、母国語で迅速にサポートを受けられる安心感は何物にも代えがたい価値があります。24時間体制で、チャットなどで気軽に問い合わせできるプロバイダーは、特に初心者の方に強くおすすめします。
翻訳サポートの限界
海外のプロバイダーが提供する日本語サポートは、多くが自動翻訳ツールを介したものです。簡単なやり取りであれば問題ありませんが、トラブル時の切迫した状況では、微妙なニュアンスが伝わらず、問題解決に時間がかかってしまう可能性があります。
現地通信キャリア|通信エリアと速度の決め手
eSIMプロバイダーは自社で通信網を持っているわけではなく、ベトナム現地の通信キャリアのネットワークを間借りしてサービスを提供しています。そのため、実際に利用する通信品質は、どのキャリアの電波を掴むかによって決まります。
ベトナムには主に3つの大手キャリアがあります。
現地通信キャリア | 主な強み・特徴 | こんな人におすすめ |
Viettel (ベトテル) | 国内最大手で、最も広い通信エリアを誇る。 | 都市部だけでなく、地方や山間部も訪れる周遊旅行者。 |
Vinaphone (ビナフォン) | ハノイやホーチミンなどの主要都市部で最速クラスの通信速度。 | 都市観光がメインの旅行者。 |
Mobifone (モビフォン) | 都市部を中心に安定したカバレッジを提供。 | コストを抑えつつ都市部で利用したい人。 |
自分が訪れる地域の特性と、eSIMがどのキャリアに対応しているかを事前に確認しておくことで、より快適な通信環境を確保できます。
付加機能|電話番号やテザリングの有無を確認する
データ通信以外の機能も、使い方によっては重要なチェックポイントになります。
音声通話とSMS
旅行者向けのeSIMプランのほとんどは「データ通信専用」です。これは、現地の電話番号が付与されないため、通常の電話回線を使った通話やSMSは利用できないことを意味します。友人との連絡やレストランの予約は、LINEやWhatsApp、Skypeなどのデータ通信を利用したアプリで行うことになります。一部、電話番号付きのプランも存在するため、必要な場合は探してみましょう。
テザリング(インターネット共有)
スマートフォンをWi-Fiルーター代わりにして、PCやタブレット、同行者のデバイスとインターネット接続を共有する「テザリング」機能は、非常に便利です。ほとんどの主要なeSIMプロバイダーはこの機能に対応していますが、Trip.comのように一部非対応のサービスもあるため、購入前の確認は必須です。
【徹底比較】ベトナムeSIMおすすめランキングTOP5
ここからは、これまで解説した5つのポイントを踏まえ、私が自信を持っておすすめするベトナム向けeSIMをランキング形式でご紹介します。それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説するので、あなたにぴったりの1枚が必ず見つかります。
1位 trifa(トリファ)|サポート重視の絶対安心モデル
eSIM初心者の方や、海外でのネット接続に少しでも不安がある方に、私が最も強くおすすめするのが「trifa」です。
メリット|比類なき日本語サポート体制
trifa最大の強みは、なんといっても「24時間365日、日本人スタッフによる有人チャットサポート」です。深夜や早朝にトラブルが発生しても、日本語で丁寧に対応してもらえます。実際に利用した際のレビューでも、この手厚いサポートに対する感謝の声が数多く見られます。購入から設定、データ残量の確認まで専用アプリで完結する手軽さも魅力です。
デメリット|安心感とトレードオフの価格
手厚いサポート体制が価格に反映されており、格安eSIMと比較すると料金はやや高めに設定されています。しかし、異国の地でインターネットにつながらないという最悪の事態を避けるための「保険料」と考えれば、その価値は十分にあります。
2位 World eSIM|大手運営の信頼と実績
海外用Wi-Fiレンタル「グローバルWiFi」で有名な東証プライム上場企業が運営する「World eSIM」は、信頼性を重視する方におすすめです。
メリット|運営会社の信頼性と多彩なプラン
長年の海外通信事業で培われたノウハウに基づいた、安定したサービス品質が期待できます。1日単位のプランから大容量プラン、無制限プランまで、あらゆる旅行スタイルに対応できる豊富なプラン構成も強みです。日本の営業時間内であれば、質の高い日本語サポートも利用できます。
デメリット|プランによる価格差
プランによっては、他の格安プロバイダーより割高になる場合があります。しかし、運営母体の信頼性は、価格以上の安心感を与えてくれます。
3位 Holafly|データ量を気にしない無制限の解放感
動画視聴やテザリングを多用し、データ消費量を一切気にしたくないヘビーユーザーには「Holafly」が最適解です。
メリット|完全データ無制限プラン
Holaflyは、滞在日数に合わせて1日単位で無制限プランをカスタマイズできる柔軟性が魅力です。通信量を気にすることなく、日本にいる時と同じ感覚でストレスフリーなインターネット環境を手に入れられます。
デメリット|「無制限」の注意点と翻訳サポート
「無制限」には、通信の公平性を保つためのポリシー(FUP)が適用されます。短時間に極端な大容量通信を行うと速度が制限される場合がある点は理解しておく必要があります。サポートは24時間対応ですが、日本語は翻訳を介した対応になることが多いです。
4位 airalo|コスパを極めるライトユーザーの味方
Wi-Fi環境をメインに活用し、eSIMは補助的に使いたいライトユーザーにとって、「airalo」は非常に魅力的な選択肢です。
メリット|小容量プランの圧倒的な安さ
「7日間・1GB」が数百円から購入できるなど、小容量プランの価格競争力は群を抜いています。ベトナムでは通信エリアの広いViettel回線を利用する点も安心材料です。予備の回線として持っておくにも最適です。
デメリット|英語ベースのサポート
サポートは基本的に英語での対応となります。また、利用者からは「最初の接続に少し時間がかかる」といった声も聞かれるため、ある程度ご自身で設定できる方向けと言えます。
5位 Glocal eSIM|キャンペーンを狙う賢い選択
通常価格でも十分魅力的ですが、「Glocal eSIM」はキャンペーンを狙うことで、その真価を発揮します。
メリット|キャンペーン時の高いコストパフォーマンス
頻繁に実施される割引キャンペーンを利用すれば、他のプロバイダーを圧倒するコストパフォーマンスを実現できます。信頼性の高いViettelネットワークを利用しているため、通信品質も安定しています。
デメリット|平日のみのサポート体制
サポートが平日の日中のメール対応などに限られる点が、週末や夜間にトラブルが起きた際の懸念材料となります。緊急時の対応を重視する方には、他の選択肢が良いかもしれません。
eSIMだけじゃない!日本のキャリアローミングという選択肢
eSIMが主流となる一方で、日本の携帯キャリアが提供する国際ローミングサービスも進化しています。特に一部のプランは、eSIMと比較検討する価値が十分にあります。
ドコモ「世界そのままギガ」の現状
日本で契約しているプランのデータ容量を海外でも使える便利なサービスです。しかし、7日間で5,000円を超えるなど、料金はeSIMに比べてかなり高額です。近年、ベトナムで通信が不安定になる障害が報告されている点も、大きな懸念材料です。
au「海外放題」とpovo2.0の破壊力
auの「海外放題」も便利ですが、料金はやはり高めです。注目すべきは、オンライン専用ブランドの「povo2.0」です。「海外データトッピング」として提供されるプランは、ベトナム向け「7日間・3GB」で2,200円など、多くのeSIMプロバイダーに匹敵する価格競争力を持っています。私がもしpovoユーザーなら、真っ先にこのプランを検討します。
ソフトバンク「海外あんしん定額」のキャンペーン威力
ソフトバンクの「海外あんしん定額」は、通常料金では割高です。しかし、不定期に実施されるキャンペーンが非常に強力で、過去には料金据え置きでデータ量が3GBから90GBに増量されるという破格の内容でした。渡航時期にキャンペーンが実施されていれば、ソフトバンクユーザーにとって最強の選択肢となり得ます。
出発前に完璧準備!eSIM設定完全ガイド
eSIMの設定は、手順さえ知っていれば驚くほど簡単です。ここでは、失敗しないための完璧な準備ガイドをご紹介します。
購入前の必須チェック項目
eSIMを購入する前に、以下の2点は必ず確認してください。これを怠ると、購入したeSIMが無駄になってしまいます。
1. 使っているスマホがeSIM対応か
iPhoneならXS/XR以降、Androidも近年の主要モデルは対応していますが、念のため確認しましょう。
- iPhoneの場合|「設定」→「モバイル通信」に「eSIMを追加」の項目があれば対応しています。
- Androidの場合|「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」にQRコードをスキャンする項目があれば対応しています。
2. SIMロックが解除されているか
eSIMを利用するには、スマートフォンが「SIMフリー」または「SIMロック解除済み」である必要があります。
- iPhoneの場合|「設定」→「一般」→「情報」と進み、「SIMロック」の欄が「SIMロックなし」になっていればOKです。
- Androidの場合|「設定」→「デバイス情報」→「SIMカードステータス」などで確認できます。
購入から設定までの流れ(日本国内での作業を強く推奨)
設定作業は、必ず日本にいる間に、安定したWi-Fi環境下で済ませておきましょう。
- プラン購入|選んだプロバイダーの公式サイトやアプリからプランを購入します。
- QRコード受信|決済後、メールなどでeSIMインストール用のQRコードが送られてきます。
- eSIMインストール|スマホの設定画面から「eSIMを追加」を選び、送られてきたQRコードをスキャンします。画面の指示に従い、回線に「ベトナム用」など分かりやすい名前を付けておきましょう。
- インストール後の設定|インストールが完了したら、この時点ではベトナム用のeSIM回線を「オフ」にしておきます。
現地到着後のアクティベーション方法
ベトナムの空港に到着したら、以下の操作でeSIMを有効化します。
- 機内モードを解除します。
- スマホの「設定」を開き、日本の主回線を「オフ」にします。これを忘れると高額なローミング料金が発生する危険があります。
- 日本でインストールしたベトナム用のeSIM回線を「オン」にします。
- ベトナム用eSIMの設定画面で、「データローミング」を「オン」にします。これをオンにしないと現地の電波を掴みません。
以上の操作で、すぐにインターネットが使えるようになります。
繋がらない時のトラブルシューティング
万が一、接続できない場合は、慌てずに以下を試してください。
- スマートフォンの再起動|最も簡単で効果的な方法です。
- 機内モードのオン・オフ|一度オンにして30秒ほど待ち、オフに戻すことで電波を掴み直します。
- データローミングの再確認|ベトナム用eSIMの設定で「データローミング」がオンになっているか、もう一度確認します。
- ネットワークの手動選択|設定からネットワーク選択を「自動」から「手動」に切り替え、eSIMが指定する現地キャリア(Viettel, Vinaphoneなど)を選んでみます。
それでも解決しない場合は、購入したプロバイダーのカスタマーサポートに連絡しましょう。この時のために、サポートが手厚いプロバイダーを選ぶ価値があるのです。
まとめ
ベトナム旅行のインターネット手段として、eSIMが最も賢く、快適な選択肢であることは間違いありません。高価で不便なポケットWi-Fiや、リスクの伴う物理SIMカードに縛られる時代は終わりました。
あなたの旅行スタイルに合わせて、最適なeSIMを選ぶための最終的な指針は以下の通りです。
- eSIM初心者で安心を最優先するなら|trifa
- データ量を一切気にせず使いたいなら|Holafly
- コストを最優先するライトユーザーなら|airalo
- au/povoユーザーなら|まずpovo2.0の海外トッピングを確認
- ソフトバンクユーザーなら|「海外あんしん定額」のキャンペーンの有無をチェック
シームレスな通信環境は、旅の質を大きく向上させます。この記事を参考に、あなたにぴったりの1枚を見つけ、忘れられない素晴らしいベトナム旅行を楽しんでください。