NTTドコモの「ahamo」、auの「povo」、そしてソフトバンクの「LINEMO」は、大手通信キャリアが提供するオンライン専用の料金プランです。これらは単なる格安プランではなく、それぞれが独自の哲学とサービスモデルを持っています。私がこの記事で伝えたい結論は、「最高のプランは人それぞれ違う」ということです。
ahamoの「パワフルなシンプルさ」、povoの「究極の柔軟性」、LINEMOの「強力なエコシステム連携」という3つの異なる選択肢の中から、あなたのライフスタイルに最適なプランを見つけるお手伝いをします。
料金プランの基本構造を徹底比較
各プランの心臓部である料金体系は、それぞれのサービスの思想を最も色濃く反映しています。私が思うに、料金プランを理解することが、最適な選択への第一歩です。
サービス名 | ahamo | povo | LINEMO |
---|---|---|---|
月額料金(税込) | 2,970円 | 2,728円 | 2,728円 |
データ容量 | 30GB | 30GB | 30GB |
超過時速度 | 1Mbps | 1Mbps | 1Mbps |
通話料 | 22円/30秒 | 22円/30秒 | 22円/30秒 |
準通話定額(税込) (5分以内の通話の定額) | 無料 | 550円/月 | 550円/月 (1年間無料) |
通話定額(税込) | 1,100円/月 | 1,650円/月 | 1,650円/月 (1年間1100円/月) |
家族割 | 割引対象外 家族割適用回線にカウント | 割引対象外 | 割引对象外 |
5G利用 | 可 | 可(今夏以降) | 可 |
キャリアメール | 提供なし | 提供なし | 提供なし |
eSIM対応 | 対応予定 | 対応予定 | 対応予定 |
申込チャネル | オンライン | オンライン | オンライン・LINE |
提供開始時期 | 2021年3月 | 2021年3月 | 2021年3月 |
その他特徴 | 海外82カ国での国際ローミング | 24時間使い放題(200円)など 通信サービスのトッピング追加 | LINEカウントフリー |
ahamo|シンプルで分かりやすいワンプラン
povo|自分好みにカスタマイズするトッピング形式
povoは、基本料金0円からスタートし、必要な機能を「トッピング」として購入していくユニークな仕組みを採用しています。
データが必要な時に、必要な分だけ購入するのが基本スタイルです。例えば、データトッピングには「データ追加30GB(30日間)」が2,780円、「データ使い放題(24時間)」が330円といった選択肢があります。データ使用量が月によって大きく変動する方や、普段はWi-Fi利用が中心で通信費を極限まで抑えたい方にとって、これ以上ない柔軟性を提供します。ただし、180日間以上有料トッピングの購入がないと利用停止になる点には注意が必要です。
LINEMO|データ量で選べる2つのプラン
LINEMOは、利用者のデータ使用量に応じて選べる、戦略的な2つのプランを用意しています。
30GBを利用したい方は、ahamoと同額の「LINEMOベストプランV」が選択肢となります。一方で、データ使用量が少ない月がある方には、使った分だけ料金が変動する「LINEMOベストプラン」が魅力的です。この柔軟性がLINEMOの強みと言えます。
通話料金と独自サービスの違い
データ通信だけでなく、音声通話の使い方もプラン選びの重要な要素です。特にLINEMOが提供する独自サービスは、特定のユーザーにとって絶大な価値を持ちます。
標準の通話料金と無料通話
短い電話をかける機会が多い方は、標準で付帯する無料通話の有無をチェックするべきです。
- ahamo|1回5分以内の国内通話かけ放題が、基本料金の2,970円に含まれています。
- LINEMO|「LINEMOベストプランV(30GB)」では、ahamoと同様に5分以内のかけ放題が標準で付帯します。
- povo|無料通話は一切含まれていません。全ての通話が30秒あたり22円の従量課金となります。
この違いは、通話スタイルによって月々の支払額に直接影響します。
かけ放題オプションの料金比較
長電話が多い方は、無制限かけ放題オプションの料金が気になるところです。私が比較した結果は以下の通りです。
ahamoとLINEMOの30GBプランは、無制限かけ放題を付けても同額です。povoはトッピング形式のため、少し割高になります。
LINEMOだけの強力な武器「LINEギガフリー」
LINEMOを語る上で絶対に外せないのが「LINEギガフリー」です。これは、LINEアプリでのトーク送受信、音声通話、ビデオ通話にかかるデータ消費がゼロになるという画期的な機能です。
この機能の真価は、データ容量を使い切り、通信速度が制限された状態でも発揮されます。LINEでのコミュニケーションだけは、常に高速で快適なまま維持されるのです。友人や家族との連絡を主にLINEで行うユーザーにとって、これは他の2社にはない、非常に大きなメリットと言えます。
データ超過後の速度制限と追加料金
毎月のデータ容量を使い切ってしまった後の挙動は、各社の思想が如実に表れる部分です。快適性に直結する重要なポイントを解説します。
データを使い切った後の通信速度
結論から言うと、データ超過後の快適さはahamoとLINEMOに軍配が上がります。
- ahamo|データ超過後は、最大1Mbpsの速度に制限されます。この速度があれば、SNSの閲覧や標準画質の動画視聴、音楽ストリーミングなど、多くの用途でストレスなく利用を継続できます。
- LINEMO|30GBプランの場合、ahamoと同じく最大1Mbpsに制限されます。これは利用者にとって心強いセーフティネットです。
- povo|データトッピングが切れると、速度は最大128kbpsに制限されます。この速度はテキストメッセージの送受信がやっとで、ウェブサイトの閲覧すら困難です。これは、新たなトッピング購入を促すための意図的な仕様です。
月末に「ギガがない」状態でも最低限の利用を続けたいなら、ahamoかLINEMOを選ぶべきです。
データが足りなくなった時の追加方法
高速通信を維持したい場合、各社でデータを追加購入できます。
- ahamo・LINEMO|両社とも、1GBあたり550円でデータをチャージする仕組みです。シンプルで分かりやすいです。
- povo|新たなデータトッピングを購入することで対応します。「データ追加1GB(7日間)」が390円など、GB単価では割安な場合もありますが、有効期限が設定されている点に注意が必要です。
緊急時に少しだけ追加したいのか、ある程度の期間使えるデータが欲しいのかによって、どちらが便利かが変わります。
海外での利用(国際ローミング)を比較
海外旅行や出張の機会がある方にとって、国際ローミングの使い勝手は死活問題です。ここでは3社の間に明確な差が存在します。
ahamo|追加料金なしで海外利用できる手軽さ
ahamoは、海外旅行者にとって非常に魅力的なサービスを提供します。91の国・地域で、事前の申し込みや追加料金なしで、国内の30GBのデータ容量をそのまま利用できます。
渡航先でスマートフォンの設定から「データローミング」をオンにするだけで、すぐにインターネットに接続できる手軽さは、他の追随を許しません。ただし、海外での連続利用は15日までという制限があり、それを超えると通信速度が大幅に低下します。短期から中期の旅行がメインの方には、ahamoが間違いなく最適です。
povo|長期滞在や幅広い国に対応するトッピング
povoは、海外利用にもトッピング形式を採用しています。渡航先や滞在期間に合わせて、専用の「海外データトッピング」を購入します。
例えば、韓国で使える「【エリア】データトッピング 1GB(3日間)」が680円など、必要な分だけ購入できます。ahamoの15日間制限を超える長期滞在や、ahamoがカバーしていない国へ渡航する場合には、povoの柔軟性が活きてきます。手続きは必要ですが、幅広いニーズに対応できるのが強みです。
LINEMO|国内利用に特化したサービス
LINEMOの国際ローミングは、正直に言って他の2社に見劣りします。利用料金は伝統的な海外パケット定額サービスに準じており、高額になりがちです。
最も重要な点として、LINEMOの最大の武器である「LINEギガフリー」は海外では適用されません。海外での利用を重視するなら、ahamoかpovoを検討するのが賢明です。LINEMOはあくまで国内での利用に特化したサービスと割り切るべきです。
サポート体制と付加価値サービス
料金や通信品質だけでなく、困った時のサポートや関連サービスも重要な比較ポイントです。特にオンライン専用プランでは、サポート体制の違いを理解しておくことが大切です。
申し込みや困った時のサポート窓口
3社ともオンラインでのサポートを基本としていますが、ahamoだけは例外的な選択肢を用意しています。
- ahamo|基本はオンラインチャットなどでのサポートですが、1回3,300円の有料サービスで、全国のドコモショップで申し込みや手続きのサポートを受けられます。オンラインでの操作に不安がある方にとって、これは大きな安心材料です。
- povo・LINEMO|サポートはチャットやウェブサイトのみで、対面でのサポート窓口はありません。完全にオンラインで自己解決できる方向けのサービスです。
この差は、各社が想定するユーザー層の違いを明確に示しています。
スマートフォンの購入
プラン契約と同時に新しいスマートフォンを購入したいと考えている方は注意が必要です。
- ahamo|最新のiPhoneや人気のAndroidスマートフォンを販売しており、分割払いプログラムも利用できます。回線契約から端末購入までを一括で済ませたい方には便利です。
- povo・LINEMO|端末の直接販売は行っていません。利用者は自分でSIMフリー端末を用意する「BYOD(Bring Your Own Device)」が前提となります。
各社のエコシステム連携とキャンペーン
各社は親会社の経済圏と連携し、独自の特典を提供しています。私が注目するのは以下の点です。
- ahamo|dカードで支払うとデータが増量されたり、「ポイ活オプション」でdポイントが貯まりやすくなったりと、dポイント経済圏との連携が強力です。
- povo|提携サービスの利用でデータがもらえる「#ギガ活」がありましたが、現在は以前ほどの魅力は薄れています。
- LINEMO|新規契約や乗り換え時に、数万円相当にもなる大規模なPayPayポイント還元キャンペーンを頻繁に実施しています。これがLINEMOの最大の顧客獲得ツールであり、ユーザーにとっての大きなメリットです。
まとめ|あなたに最適なプランはこれだ!
ここまで様々な角度から3つのプランを比較してきました。最終的に、私が考える「あなたに最適なプラン」をライフスタイル別に提案します。どのプランを選ぶべきか、この結論を参考にしてください。
- 手間いらずのパワーユーザーには→「ahamo」
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月々の料金が固定で、十分なデータ量と5分かけ放題が欲しい。たまに海外へ行くけれど、難しい設定はしたくない。そんなあなたにはahamoが最適です。シンプルで信頼性が高く、国内外で安心して使える万能さが魅力です。
- 徹底的に節約したい・柔軟性を求めるなら→「povo」
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データ使用量は月によってバラバラ。Wi-Fi環境が中心だから、使わない月は支払いを0円に近づけたい。そんなあなたにはpovoがぴったりです。自分の使い方に合わせてトッピングを組み合わせることで、通信費を完全にコントロールできます。
- LINE中心のコミュニケーション・お得さを追求するなら→「LINEMO
」
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